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ドイツW杯観戦日誌・目次
 
マルタとの強化試合に意義はあった(6/5)
開幕は静かに迫っている(6/6)
入場券は本当にないのか?(6/7)
ストライカーの決め手は判断力(6/8)
ワールドカップ開幕(6/9)
日本の敗因を考える(6/12)
フランスは復活するか(6/13)
「東欧の速攻」は滅びたのか?(6/14)
監督の用兵が勝負を決める(6/15)
米国が見せた9人での戦い方(6/17)
「決定力不足」を考える(6/18)
ドイツのサッカーの底力(6/20)
日本の敗退を考える(6/22)
ドイツは燃え上がる (6/24)
イングランドの放り込み(6/25)
カメラマンの戦い (6/26)
アフリカのサッカーを考える (6/27)
準決勝・ドルトムント (7/4)
準決勝・ミュンヘン (7/5)
決勝・ベルリン (7/9)
 

※このコンテンツは、ドイツ・ワールドカップ期間中に、同名のブログに掲載していた記事に加筆、転載したものです。

 

 


 牛木素吉郎のドイツ・ワールドカップ観戦日誌
  1970年メキシコ大会から10大会連続現地取材をしている
  スポーツジャーナリスト・牛木素吉郎のリポートです。(協力:ビバ!サッカー研究会)

6月20日(火)
ドイツのサッカーの底力

ドイツ 3対0 エクアドル (ベルリン)

★仕上がってきたドイツ
 ベルリンへドイツ対エクアドルの試合を見に行った。6月20日、グループリーグの最終戦である。両チームとも、ベスト16進出は、すでに決まっている。それでも、地元の大衆はゴールのたびに熱狂していた。
 ドイツ代表チームは試合ごとに仕上がってきている。チームとしてまとまり、守備は組織的で、安定してきている。気迫あふれるきびしい攻守である。つまり、もともとのドイツ・サッカーの底力が戻ってきている。
 第1戦は、太ももの故障で大事をとった主将のバラックが、第2戦に続いて、この日も先発、フル出場した。前半は、攻撃の起点になるパスを、主としてフリンクスが出したが、フリンクスのできはよくない。状況判断が遅く、パスが不正確である。バラックがいないと、攻めを組み立てられそうにないところが、ドイツの弱点ではないかと思った。
 
★サッカー文化の奥深さ
 ぼくが本拠地にしているフランクフルトを午前8時過ぎに出た。列車で片道4時間、正午過ぎにベルリンに着く。試合開始までに時間があったので、駅前近くの「アディダス・フットボール・ワールド」とパブリック・ビューイング会場の「ファン・フェスタ」を見た。全国一だと自慢していたフランクフルト以上の規模である。
 「アディダス・フットボール・ワールド」のなかに、庶民のアパートの模型のようなものが作ってあった。ベランダにドイツの旗が出ている。おかみさんの人形が外を見ている。表ではおやじさんと子どもがサッカーを見ている。そういう想定の作りである。場内にミニ・サッカー場が、いくつも作ってあって、ここでは人形でなく、若者や子どもたちがゲームを楽しんでいる。ワールドクラスのプロのサッカーが、大衆の生活に結びついているものだという考えが、こういう商業宣伝の施設にも出ていて興味深かった。

★明石真和さんの著書  
 こういう、奥の深いドイツのサッカー文化の背景をしるために、ぜひ読んでもらいたい本がある。「ビバ!サッカー研究会」仲間の明石真和さんが書いた「栄光のドイツサッカー物語」である。
  明石さんは、駿河台大学教授でドイツ文学とドイツ語の先生である。そしてサッカー狂である。ドイツの文献を原書で読みこなす。「キッカー」などドイツの新聞も定期購読している。さらに毎年ドイツに出かけ、ネッツアーやベッケンバウアーなどに直接話をきいている。表面だけのブンデス・リーガの知識を振り回したり、数年のドイツ留学の経験にものをいわせているのとは、ものが違う。だから著書の「栄光のドイツサッカー物語」は、最近のサッカーの出版にはあまりない、奥の深い本である。
 ドイツに来ている日本のサポーターのなかに、釜本、杉山を知らない若者がいることに、ぼくは驚いている。一方、ドイツの子どもたちは、みな1954年のワールドカップで優勝したドイツの主将、フリッツ・ヴァルターを知っている。そこにサッカー文化の厚みの違いが表われている。明石さんの本を読んで、そんなことを考えながら、フランクフルトに着いたのは、午前3時だった。

栄光のドイツサッカー物語

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