アーカイブス目次
  アーカイブス1966-69
HOME

 

 


◆アーカイブス

日本代表4つの問題点 (1/3)
(サッカーマガジン1967年7月号) 


びっくりした手紙
 
 日英サッカーが終って、日本蹴球協会の事務所に行ったら机の上に1枚のはがきがあった。ファンからの投書だ。ひっくり返してみたら、でっかい字で「長沼、岡野を首にしろ」と書いてあった、差出人は不明。
 これには、びっくりしたなあ。
 ことわっておくが、ぼくも、日英サッカーでの日本代表の試合ぶりについて、長沼監督と岡野コーチに責任がないとは、考えない。
 どんな事情があるにせよ、チームの成績については、監督、コーチが大半の責任を負うべきものだと思っている。
 だけど、こんどの場合「首にしろ」というのは、ちょっとひどいと思う。この全英アマチュア選抜との試合は、9月〜10月に東京で開かれるメキシコ・オリンピック予選に備える日本代表チーム強化計画の一環なのだ。
 強化の過程でひとつひとつの試合の結果に一喜一憂して、監督や選手の首を切っていたら日本代表チームは潰滅しちゃう。
 ことしの最大目標はただ一つ。
「メキシコ出場権を獲ち取ろう」


昔なら大感激だが……

 さて、全英アマチュア選抜チーム “ミドルセックス・ワンダーランズ” を迎えての日英親善サッカーは5月25日、27日、30日に東京と京都で3試合を行った。
 戦績は日本代表チームの1勝2敗。残念ながら勝ち越しは成らなかったけれども、敗れた試合も日本が優勢であったことは、みんな認めている。3試合のシュート数の合計も、日本代表が55、全英が31で、一方的である。
 サッカーの母国を誇る英国のチーム、しかもメキシコ・オリンピック代表候補7人をふくむチームに対して、これだけの戦績を残せば、10年前なら大拍手を浴びたに違いない。少なくとも、「監督をやめさせろ」なんて投書が舞いこむことは、考えられない。
 ところが今度は、相手が世界選手権を持つサッカーの母国であろうとも、
「プロじゃないんだから、勝たなきゃ話にならない」
と、首脳陣は断言していた。
 ファンも勝つことを期待して競技場につめかけた。
 ぼく自身も「欧州のアマチュアには負けないことを実証して、秋のメキシコ予選への自信をつけるための対戦」だと考えていた。
 結果は勝つには勝ったが1試合だけ。ひとむかし前なら大感激のところが、失望憤激てなことになったのである。日本のサッカーがそれだけ成長したのだともいえる。

1/3  次へ進む>>

 

Copyright©2005 US&Viva!Soccer.net All Rights Reserved