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◆ビバ!スポーツ時評 by 牛木素吉郎

サッカー日誌 2007

◆反町U-22への期待と不安◆
 北京オリンピック男子アジア2次予選
 U-22日本代表 3対0 U-22シリア代表
 (3月28日 東京・国立競技場)


◆アジアの中以下には確実に勝てる
 反町康治監督の率いるU-22日本代表がシリアに完勝した。北京オリンピック男子アジア2次予選の前半戦に3戦全勝である。2次予選突破はほぼ確実になった。
 ただし、このチームが最終予選を突破し、さらに北京オリンピックでの活躍を期待できるかどうかについては、不安もある。
 現在のU-22日本代表は、反町監督がめざしている方向へ、まとまりつつあるように見える。グループでしっかり守り、スピーディーにパスをつないで攻める。こういうサッカーが、きちんとできれば、アジアの中以下のチームには確実に勝てる。
 しかし、強いチームが、守りでは激しくマークし、攻めでは強力な個人技で突破しようとしてくると、対応できない可能性もある。そういう相手に対抗するには、チームとしてまとまっているだけではなく、選手個人個人の強さを生かして戦う必要がある。

◆家長の好ドリブルで先取点
 反町監督は、対シリア戦では攻撃の最前線の組み方を変えた。
 米国との強化試合(2月4日・熊本)と五輪予選対香港(2月28日・東京・国立競技場)では、平山相太をトップに立て、下がり気味にカレン・ロバートと李忠成を配した3トップ。この日は平山と李の2トップで、その後方に家長昭博を組み立て役として先発させた。
 家長はもともとはサイドからのアタッカーである。前半16分、左サイドに出ていたところに、右サイドの水野晃樹からの長いパスが渡り、ドリブルで内側に切れ込んでミドルシュートを決めた。反町監督によれば「前日に練習していた通りの攻め」だったという。
 家長を左に出してサイドチェンジのパスで攻めたのが、狙い通りだったのだろう。ただし、家長が内側にドリブルで切れ込んで相手を2人かわし、いきなり自分でシュートしたのも想定内だったのだろうか? 

◆攻めの道筋は見えたが…
 家長はガンバ大阪のユース育ち。20歳の若さだが、オシム監督に目を付けられて日本代表に選ばれてから積極的なプレーぶりが目立つ。細かい足技もあり、ドリブルの速さもある。そして、思い切り良く自分でプレーしようとするのがいい。対シリア戦のゴールは、反町監督の狙いが、家長の個性をうまく生かしたものだったと言えるだろう。
 そのあと日本は、平山が2ゴールをあげて完勝した。攻めについては道筋が見ええた感じである。2点目をアシストした水野は、この日の殊勲者だった。
 守りはどうか? 
 最初の10分間は、イラクに攻め込まれてバタバタしていた。シリアの選手は不慣れな寒さと長旅と時差で疲れていた。そのため、先取点を挙げたあとは、日本の守りは危なげなかったが、敵地で強い相手と当たったときには、どうだろうか? 不安も少なくない。

(サッカー新俳句) 好シュート蕾は少し膨らみぬ

 

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