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◆ビバ!スポーツ時評 by 牛木素吉郎

サッカー日誌 2007

◆オシムは俊輔と高原を使うべきだ◆
 日本代表 2対0 ペルー代表
 (3月24日・日産スタジアム)


◆欧州組招集の狙いは
 2007年初の国際試合に、日本代表チームは中村俊輔(セルチック)と高原直泰(アイントラハト・フランクフルト)を呼び寄せた。オシム監督になって初の欧州組招集である。  
 これについて二つの見方がある。
 一つは、オシム監督は国内組だけでやりたかったのたが、観客動員やテレビ視聴率を求める協会やテレビ局の圧力に押されて妥協したという憶測である。2人の招集が発表されると入場券の売り上げが急速に伸びたのだから、客寄せの効果はあったわけである。
 もう一つは、オシム監督が、そろそろ欧州組を加えてみる時期だと考えて、テストしてみたのだという推測である。選手たちにとって国内組と欧州組がお互いのプレーに慣れる機会になったし、オシム監督にとっては、俊輔と高原を直接見てみる機会になった。
 本当のところ一石二鳥だったと思う。

◆期待に応えた俊輔と高原
 欧州組の2人は、観客とテレビにとっては、期待通りの活躍を見せた。
 前半19分の先取点は、俊輔のフリーキックが、長身ストライカー巻誠一郎のヘッドにぴたりと合ったものだった。
 後半9分の2点目は、俊輔のフリーキックを高原が蹴りこんだ。
 俊輔のキックの精度のすばらしさと高原のシュート能力を見ることができた。
そのほかの場面でも、2人のテクニックと状況判断の良さが、国内組の多くの選手よりも一段上であることは、ほとんどの人が認めただろうと思う。
 俊輔が右から左へ大きく振ったサイドチェンジのパスは、判断も精度もすばらしかった。高原が積極的にドリブルを仕掛けたのも良かった。
 今後とも、この2人を招集するのが当然だと思う。

◆オシム監督の辛口発言
 ところが、試合後の記者会見でのオシム監督の発言は、すこぶる厳しかった。
 「自分の力を示そうと気負いすぎていた」「個人で打開することに頼っていた」「勝ったからといって浮かれていられる試合ではない」。
 名指しはしなかったが、あからさまに俊輔のプレーを批判した。
 スポーツ新聞が欧州組を大ヒーローに祭り上げるのを牽制したのかもしれない。
 パスをすばやくつないで攻めるサッカーを目指しているに、欧州組のプレーの質が違っていたのに苛立っていたのかもしれない。
 しかし、ぼくの見るところ、7月のアジアカップに、俊輔も高原も必要である。オシム監督は2人の能力を引き出せるサッカーを考えなければならない。

(サッカー新俳句) 櫻待つ国へ土産のゴールかな

 

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