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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌 2007

◆高校の「つなぐサッカー」とは?◆
 〜第85回高校選手権雑感(2)〜
 (2006年12月31日〜2007年1月8日)


★「つなぐサッカー」には見えない
 高校選手権大会の2、3回戦のころに「つなぐサッカーが増えてきた」という論評があった。前年に優勝した野洲(滋賀)の影響だということだった。
 その野洲は1月3日に八千代(千葉)に4対1で敗れて3回戦で姿を消した。今回の野洲が、どんなチームだったかは、試合を見ていないので分からない。
 ぼくの見たかぎりでは、どの試合も「つなぐサッカー」には見えなかった。
 「蹴るサッカー」か「つなぐサッカー」かは、程度の問題ではある。
 ただ、大きく前へ蹴って、走りこむキック・アンド・ラッシュだけのチームは、20年くらい前にはあったが、いまはまったくない。
 しかし、決勝戦では「パスのサッカー」と言われた作陽(岡山)も「つなぐサッカー」には見えなかった。
 
★冷雨のなかの準決勝
 1月6日には国立競技場で、作陽対神村学園(鹿児島)、八千代対広島皆実(広島)の準決勝を見た。冷たい雨が降り続くなかの試合だった。
 国立競技場のピッチは、見た目にはみごとな緑の芝生に覆われていた。
 雨の日の芝生はボールがすべってパスが速く走る。だから、速くパスをつないで、速く走るサッカーに有利だと言われている。
 ところが、この日の国立競技場のフィールドは、センターサークル付近がすこし陥没しているらしく、芝生の上に水溜りができていた。そこでは、パスは「走る」どころか、止まってしまう。ボールを蹴ると水しぶきがあがる。そんな状態だった。
 それでも、選手たちは、水溜りは避けてボールをつなぎ、センターサークル付近では、大きく蹴ることを心がけていた。そういう使い分けができる技術がちゃんとある。

★攻めを急ぎすぎる
 そういう選手たちのプレーが、好天だった決勝戦では「つなぐサッカー」には見えなかった。なぜだろうか?
 いまの高校チームは、単純な「蹴るサッカー」はしていない。長い浮き球のパスも、走り出る味方めざして蹴っている。
 それが「つなぐサッカー」には見えないのは、一つには、攻めを急ぎすぎるからではないかと思う。
 守備ラインの選手は、ボールを取ると、すぐ縦に大きく出そうとする。
 攻撃の選手は、すぐ前へ直線的に走り出る。
 守から攻への切り替えをはやくしようとしている。それはいいのだが、縦に送るパスの精度が、あまり高くない。それで「つなぐサッカー」には見えないのである。

 

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