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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌 2007

◆「殊勲賞」をギド・ブッフバルト監督に◆
〜ビバ!サッカー恒例の年間表彰決定 (2)〜


★天皇杯表彰式の笑顔と涙
 ビバ!サッカー恒例の年間表彰は「大賞」のほかに「殊勲」「敢闘」「技能」の三賞も選考している。
 そのうち、2006年度の「殊勲賞」は、浦和レッドダイヤモンズのギド・ブッフバルト監督に決定した。ぼくが独断と偏見で、しかし公正に選考した結果である。
 2007年元日の国立競技場で、ロイヤルボックスまで上がって表彰を受ける選手たちを、ブッフバルト監督はフィールドから見上げていた。人懐っこい笑顔で通訳の山内直さんとにこにこと話していたが、山田暢久主将が天皇杯を受け取ったときは、目が潤んでいたように見えた。
 リーグとカップの2冠、天皇杯2連覇を残して日本を去る。
 ちょっと「感傷的になった」とあとで話していた。

★スター選手が多すぎる悩み
 しかし、ブッフバルト監督の殊勲賞は2冠と連覇を評価してのことではない。
 優勝に対しては、すでにJリーグが「最優秀監督賞」で、はなばなしく表彰している。
 わがビバ!サッカーは、優勝監督、則、表彰というような安直な評価はしない。
 Jリ―グ優勝について言えば「あれだけ、いい選手を集めてもらえれば勝てるよ」というひがみっぽい意見もある。また「そのわりには試合ぶりにむらがあった。相手がヘボな試合をしてくれたので勝っただけだ」という意地悪い見方もある。
 でも、監督にとっては、スター選手が多いための悩みもあったに違いない。出番を得た選手は「おれが、おれが」というプレーをしがちだし、ベンチに置かれたスター選手は腐る場合も多いものだ。
 天皇杯では、ブラジル育ちの選手のなかに、さっさとチームを離れたものもいた。

★「勝者のメンタリティー」を育てる
 ブッフバルト監督に関しては、ドイツ人でありながら、文化的背景の違うブラジル育ちの選手を主力として使いこなしたことを、まず評価したい。
 また、天皇杯では、リーグでは控えだった選手たちが、勝利を目ざして闘志を燃やし、実力を発揮したことを評価したい。ブッフバルト監督は「(控えだった選手たちが)練習で勝者のメンタリティーを身に付けた結果だ」と話した。
 どのようにして、練習で「勝者のメンタリティー」を身に付けさせたか?
 「一人一人の選手に、それぞれの、いいところを指摘してやる。それによって個人が育つ。つぎにグループでよさを見つける。その上でチームとしての勝者のメンタリティーができる」。
 この言葉のなかに、3年間の浦和での指導の秘密を見ることができる。

 

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