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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月21日(火)

◆プロアマ共存とプロ選手契約◆
 (11月17日・スポーツ法学会研究会)
 
 
★プロ選手契約の比較
  縁があって日本スポーツ法学会の会員になっている。スポーツ・ジャーナリストとしては場違いだが、勉強の機会だと思って参加している。
  学会の中にさらに「スポーツ契約等研究専門委員会」があり、その一環で「プロ野球とJリーグの選手契約の実情」という報告があった。
  出席者の大部分は、もちろん法律の専門家である。プロ野球やサッカーの選手の代理人を勤めている弁護士の先生方もいる。法律のシロートが、先生方のお話を十分に理解したかどうかは心もとないが、新しい知識や考え方を参考にすることができた。
  プロ野球は興行であり、アマチュア野球とは別組織である。
  一方、サッカーはプロアマ共存で、組織も一つである。
  この違いが、興味深いが難しい問題を生んでいる。
 
★サッカーの “D契約選手”
  Jリーグには、A契約、B契約、C契約の3種類のプロ選手がいる。AとBは、ふつうのプロ契約で、C契約は新人である。C契約は年俸 450万円以下に制限されている。
  C契約選手は、契約期間が切れたあとに、クラブが引き続いて契約をしたいと申し出た場合は、そのクラブと契約しなければならない。ただし、クラブのほうは年俸を下げることはできない。またC契約ができるのは3年以内で、それ以上、引き続いて契約したければ、AまたはB契約をしなければならない。
  ややこしいが、高額の報酬で新人争奪が行われるのを防ぐ一方、クラブ側が、いつまでも低年俸で新人選手を拘束できないようにするのが趣旨だろう。
  ところが、このほかに“D契約”と呼ばれる選手がいる、という話が出た。3種類のプロ契約以外の抜け道がある、という意味である。
 
★プロを「職員」として雇用
  通称 “D契約” は、クラブの職員という形で雇用し、選手として出場させるというものらしい。職員としてであれば自由に雇うことができる。高い給料を払うこともできるし、減給することもできる。ただし、この「職員」は、ふつうのサラリーマンのようには「労働者としての権利」を保護されていないのではないか、と想像した。。
  この話を紹介した弁護士の先生は「サッカーでは、アマチュアでもJリーグに出場できるんですから」とプロ選手の利益を守ることの難しさを嘆いた。
  プロとアマを差別せず、ともに同じチームで出場させることができる。この「プロアマ共存」の理念はサッカーを発展させてきた原動力だと、ぼくは考えている。
  しかし、「プロアマ共存」とビジネスとしてのJリーグを共存させるには、難しい問題があるな、と考えた。

 

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