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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年11月14日(火)

◆無責任なW杯敗因分析(5)◆
(11月8日、協会テクニカルレポート発表)


★総括ではなく商品宣伝
  11月8日に日本サッカー協会で行われた記者会見は、報道関係への連絡には「2006FIFAワールドカップドイツ日本代表テクニカルレポート・メディア向け説明会」となっていた。
 「日本代表のレポート」だから、代表チームの「総括」がレポートされるものと、報道関係者の多くが考えたのも無理はない。
  しかし、記者たちの机の上に置いてあったのは「2006ワールドカップドイツ オフィシャルライセンスDVD 『JFA テクニカルレポート』商品概要」という1枚の紙っ切れだった。きちんとした報告書が配られるものと思っていたら案に相違だった。
 『JFA テクニカルレポート』は、ドイツ・ワールドカップの映像権を買ってJFA(日本サッカー協会)が制作した技術解説のDVDらしい。それを商品として売り出すための宣伝だった。
 
★「まやかし」の記者会見
  報道関係者への案内にあった「日本代表テクニカルレポート」というタイトルは「まやかし」だった。「日本代表についてのテクニカルレポート」ではなくて、「日本サッカー協会が作ったワールドカップのレポート」なのである。
  この「商品」の内容については、布啓一郎・技術副委員長が一部を説明した。
 「日本代表チームの戦い」についても触れてあるのだろうが、主として大会の全部の試合を対象に、映像を使って技術や戦術を解説したもののようである。
  それはそれでいい。大会についての一つの見方を示すものだろうし、チーム指導の材料として使えるだろう。ファンにとっても貴重な映像資料である。
  しかし、これは日本代表チームについての協会の報告(レポート)とは言えない。当事者としての報告は、チーム指導の材料とは別に示さなくてはならない。

★メディアをなめた発表
  田嶋専務理事は「総括という言葉は使わない」と言いながらも、日本代表チームのドイツでの試合について述べることは述べた。「コンディショニングの失敗」という言葉は、そのなかで出てきた。分析としては、お粗末である。
  田嶋専務理事の話の大半は「日本サッカーを将来、どうすればよいか」についてだった。重要なテーマであり、問題点も多いが、ここでは触れない。「商品」を購入して、しっかり見たうえで、改めて取り上げることにしよう。
  将来についての話は、もちろんだいじである。しかし「日本サッカーの課題と今後の強化方針」は、そのための機会を作って、協会の責任者として、しっかり説明すべきである。商品宣伝の場を借りて、ちょろっと「総括」し、一方的に意見を述べて「お話する機会を得てよかった」と感想を述べたのは、集めたメディア関係者をなめたやり方だった。
(この項終わり)


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