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◆ビバ!スポーツ時評

サッカー日誌  2006年8月8日(火)

◆オシム監督のしたたかな人選◆
 トバゴ戦のメンバー出揃う
(8月7日、協会発表)

★「強化試合」の意味がない
 日本サッカー協会の非常識な日程は、オシム監督にとって、代表選手招集の制約になっただけでなく、トリニダード・トバゴとの親善試合の意義について、日本サッカー協会の考え方に不信を抱かせるものだった。
 トリニダード・トバゴ戦1週間後の16日に新潟でイエメンとの試合がある。これはアジアカップ予選の第1戦で、タイトルをめざす「公式戦」である。
 ふつうの考えではタイトルマッチ1週間前の親善試合はウォーミングアップ・マッチである。いわば「足慣らし」の試合だ。最近の言葉で言えば「強化試合」である。
 ところが、この強化試合と公式戦の間の12日にはJリーグの試合が組まれている。そのために、代表チームに選手を満足に集められないだけでなく、いっしょにトレーニングする日数もきわめて少なくなる。これでは「強化」が台なしである。

★オシム監督の現実的対策
 最初のメンバー発表の記者会見で、オシム監督は、この点でも協会に対する不満を表明した。オシム監督は、次のように述べた。
 @9日の試合と16日との試合は、できるだけ同じメンバーで臨みたい。
 A1週間に選手にもう1試合(計3試合)させるのは無理である。
 きわめて、まともな意見である。
 しかし、オシム監督就任前に決まっていた年間スケジュールのために、まともな意見を通すことは不可能である。
 というわけで、オシム監督は、不快感を表明しながらも、現実的な対策を考えなければならなかった。
 トリニダード・トバゴとの試合は、オシム体制の初戦であり、地元での興行だから、簡単に負けるわけにはいかない。しかし、選手を思うように集められないし、いっしょに練習する日数も、きわめて限られている。

★浦和レッズを中核に
 こういうときの対策の一つは、特定の一つのクラブを中心に代表チームを編成することである。オシム監督は、この方法を取り入れて、浦和レッズの選手を中心に核を作った。 浦和はバイエルン・ミュンヘンとの親善試合を、すでに終えており、他のチームに比べれば日程的に多少の余裕がある。それに、これまでの日本代表の選手を多く抱えている。オシム監督にとっては、負けないことが、まず必要だから、守りを浦和を主力に組み、各ポジションにも、それぞれ浦和の選手を配置した。
 しかし、それだけでは「強化試合」としての意味がない。そこで将来の「オシム・ジャパン」の中核になることを期待できる選手も加えた。この機会に、オシムのサッカーになじんでもらおうという狙いである。
 転んでもただでは起きない。オシム監督のしたたかさが人選に表れている。

 

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