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◆ビバ!スポーツ時評

ビバ!サッカー観戦日誌(2006/5/28up)

ヤマザキナビスコカップ、予選リーグ最終日、C組
ジェフ市原千葉 1ー0(0ー0) 清水エスパルス
5月21日(日) フクダ電子スタジアム(午後3時〜) 晴

守りのサッカーは難しい   

☆負けなければいい立ち場
 決勝トーナメントに進出するために、ジェフは引き分けでいい、相手の清水は勝たなければならない立ち場だった。そのために清水は最初から攻勢に出て、ジェフは守りに追われた。前半のシュート数は清水6、ジェフ3である。しかし、後半はジェフも攻めに出て活発な攻め合い。後半のシュート数は、ジェフが13、清水が9だった。
 前半に得点できなかった清水は、後半はますます攻めを焦って前がかりになってくる。 ジェフはその裏側をついて攻めに出て清水の攻めを押さえようという狙いのようだった。後半40分に、ジェフは相手ゴール前で短いパスをすばやくまわして、混線のこぼれ球を山岸智がシュート、決勝点をあげた。 後半、守り切ろうとしないで、逆に攻めに出たジェフの試合運びが成功した。

☆オシム監督のコメント
  試合後の記者会見で、ジェフのオシム監督は「守り切る試合は難しい。現在のジェフは、それができるレベルではない。守りの試合ができるのは、もう1段階上のレベルだ」と話した。ディフェンスラインの3人のうちで本来のディフェンダー役は2人だけである。かなめのストヤノフの役割は守りだけではない。守りの水本裕貴も、斎藤大輔も何度も相手のゴール前まで攻めに出た。それが、現在のジェフのサッカーだ。そういいう趣旨の説明だった。ハーフタイムの指示がプリントになって、後半なかばに記者席に配られてくる。オシム監督の指示のなかに「自分たちのプレーをしよう。守りに入ったらやられる」という言葉があった。選手たちは、その指示どおりに後半の試合をした。
 点をとられないサッカーをするには、激しく厚く守るのではなく、チームでボールをキープして、相手の攻める時間を短くするのがいい。また、リスクをおかしてシュートするよりも、確実なチャンスを生かしてゴールを狙うのがいい。しかし、そういうサッカーができるためには、全員に高いテクニックと判断力が必要である。

☆リード後の選手交代
 ジェフは、後半40分に1点をあげたあと、2人の選手交代をした。トップ下にいたクルプニコビッチに代えて中島浩司を、ワントップのハースに代えて要田勇一を出した。交代の理由は「チーム全体を新鮮にするため(レフレッシュするため)」というオシム監督の話である。それに外人選手2人は「かなり疲れていた」とも説明した。
 最後の5分あまり、要田は攻めの最前線に立った。清水の全員攻撃を守備陣がはねかえす。そこから出てきたボールをとってドリブルで攻め込む。そういう逆襲速攻のための前線の標的である。30歳をこえている外人2人に代わって、労働量の多い守りのできるプレーヤーを入れたのかと思ったが、そうではなかった。終了まぎは、要田が逆襲のボールを受けて単独ドリブルで攻めこもうとし、清水の伊東輝悦にシャツを引っ張られて倒される場面があった。伊東は警告。要田の役割はこれでいい。

[試合のメモ]
(ナビスコカップ予選リーグ最終日 ジェフ市原千葉 1ー0 清水エスパルス

@巻と阿部のいない試合
 ジェフは、巻誠一郎がワールドカップの日本代表に選ばれ、この試合には出場できなかった。また中盤の軸の阿部勇樹が警告累積で出場できなかった。攻めのエースと組み立ての起点を欠いて、うまく攻められるかどうかが不安な点だった。しかし、試合ぶりは悪くなかった。その理由のひとつは、ストヤノフがのびのびと活躍したことだろう。最後尾の守りから、しばしば中盤の前の方まで進出していいパスを出し、シュートも放った。他の選手たちも、チャンスには積極的に攻め込んだ。
 とはいえ、オシム監督の言葉はきびしい。「2人がいないだけで、落ち着いたプレーができない。成熟したチームとはいえない」

A佐藤勇人が殊勲者
 清水にも得点機会は、いくつかあった。とくに後半35分すぎ、右コーナーキックからの攻めにジェフのゴールキーパーが飛び出し、がら空きになったかと見えたゴールに絶好のシュート。ところがジェフの佐藤勇人がゴール内にカバーしていて、あやうく蹴りだした。記者席から見たところでは、ボールが完全に入ったようにみえるほどの、きわどい場面だった。ピンチを救ってもらったゴールキーパーの櫛野亮は佐藤に駆け寄って感謝。その数分後に、ジェフの決勝点が入った。佐藤がこの試合の殊勲者だろう。

B清水のサポーター1、000人以上
 アウエー・チームのゴール裏応援席は、1、000人以上のオレンジ色のユニフォームで埋 まっていた。清水から駆け付けて熱心に応援してくれる人たちを、こんなにもっているのはすばらしい。サッカーどころの静岡なのだから、チームがそれにこたえられる、いい試合を見せてほしいと思った。いまのところ、ジェフよりも、さらに「未成熟」である。
 お天気のいい日曜日だったためもあるだろう。あるいは静岡から新幹線でくれば、東京駅からは京葉線で蘇我駅まで45分。それほど遠くは感じないのかもしれない。ぼくは、東京三鷹市の自宅から出掛けて、東京駅で乗り換え、スタジアムに着くまで片道約2時間半。 かなり「遠いな」と感じているのだが・・・。

C時差をつけて帰るには
 京葉線の蘇我駅からフクアリ・スタジアムへ向かう途中、拡声器でしきりにアナウンスしていた。「この道は帰りは混雑します。時差でお帰りくださるよう、お願いします」。
 時差をつけて帰る方法は、スタジアムの近所で祝勝会、あるいは残念会をしてから帰ることである。ところがフクアリの周辺には飲食店がない。混雑を通り抜けて蘇我駅の近くに来てから祝勝会(残念会)ということになる。いつも仲間のグループと会食してから東京へ帰るのだが、この日は日曜日だったので、いつも使っているお店は休み。仲間が他の店を見つけてくれて、ぼくたちのグループの会はやることができた。試合の日はスタジアムの周辺に屋台村でもできるといいんだけど・・・。

 

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