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◆ビバ!スポーツ時評

ビバ!サッカー観戦日誌(2006/5/10up)

ジュビロ磐田 3-0(2-0) サンフレッチェ広島
4月16日(日) 晴 磐田ヤマハ・スタジアム(午後3時〜) Jリーグ第8節 

欧州の町を思わせる磐田の雰囲気

☆人通り少なく、ジュビロの旗がある
 JR東海道線の磐田の駅に降り立ったら、欧州の地方都市にサッカーを見に行ったときの気分を思い出した。
 暖かい春の日曜日。日差しの明るい駅前の通りは、がらんとしている。スタジアム行きのバスの停留所に行列ができているだけ。でも、シャッターを降ろしている商店も、青い大きなジュビロの旗は立てている。「きょうはジュビロの試合の日」と、それでわかる。土曜、日曜に人通りが少ないのは、欧州の町ではふつうだ。サッカーの試合のある日は、なおさらだ。みなスタジアムに出掛けているから。
 バスがスタジアムに近付くと、しだいに人通りが多くなり、沿道の家は、ふつうの民家もジュビロの旗を出していた。これも欧州のどこかの小都市で見たような光景だ。スタジアムのまわりには、家族連れが目立つ。うららかな、心の浮き立つ日曜日。

☆福西の復帰で活気が戻る
 ジュビロ磐田は、このところ調子が悪い。この日までリーグは2勝2引き分け3敗、ヤマザキナビスコ・カップも1勝1引き分け1敗。負け数が先行していた。
 しかし、この日はちょっと違った。
 足首を痛めていた福西崇史が3試合ぶりに復帰していた。リーダーが戻ってくると若いプレーヤーたちが、ぐんと引き締まる。スタンドのサポーターたちも、落ち着いた雰囲気になる。立ち上がり早々に先制点が入ったこともあって、磐田のサポーターにとっては、
余裕をもって楽しめる試合になった。

☆名波、中山の登場に歓声
 2対0でリードしている後半38分、名波浩が交替出場した。すぐそのあとに、中山雅史も登場した。おなじみのスターが出揃って、スタンドは大歓声である。そして終了まぎわ、ロスタイムに入ってから3点目が入った。
 スタジアムを引き揚げる人びとの幸せそうな顔。子どもも、若者も、おじいちゃんも。試合を楽しみ、なじみの選手たちの登場を楽しみ、勝利を楽しんだ。「磐田はすっかり、サッカーの町だなあ」と感じた。
 磐田市の人口は約17万人。町村合併が行われる前の、もともとの旧市域の人口は10万くらいだろうか。
 「サッカーの町」としてまとまるには、ちょうどいい。欧州の地方都市のように。
このくらいの規模の町でJリーグのチームが成り立てば、日本のサッカーも本物だ。

[試合のメモ]
(Jリーグ第8節 ジュビロ磐田 3ー0 サンフレッチェ広島)

@開始22秒に先制点
 試合がはじまったと思うまもなく磐田が先制点をあげた。これが試合のムードを決めた。 地元磐田のサポーターが活気づき、先発した若手の選手たちの気を楽にした。広島は今季不振で、まだ勝ち星がない。「きょうもダメか」と、ますます歯車が合わなくなった。
 左から大きく右へサイドチェンジの長いパス。それを太田吉彰が受けたとき、右のディフェンダーの鈴木秀人が、全速力で右ライン沿いにオーバーラップして進出した。鈴木は太田からパスをもらうと、すぐゴール前へ大きなクロス。それが、そのままゴール左上隅に入った。
 試合後に鈴木は「狙って入ったとは、とても言えない」と話したという。そうだとすれば、磐田にとっては「ラッキーな」先制点である。
 試合後の記者会見で、広島の小野剛監督は「アンラッキーだった」と話した。しかし、入れられたほうが「アンラッキー」だったと言っていいだろうか。キックオフ直後の「油断だった」というべきではないだろうか?

A磐田の復調は本物か?
 結果としては、3対0で磐田の快勝だったが、これで磐田が上位に復活へのきっかけをつかんだといえるだろうか? 
 磐田の攻めは、開始直後の先制点のパターンの繰り返しだった。大きなサイドチェンジからディフェンダーのオーバーラップ、そしてゴール前への長いクロスである。しかしゴール前へのクロスの精度は高くない。むしろ粗さが目立った。結局、この攻めからのゴールは、その後は生まれなかった。19分の2点目は、広島の守備のクリアミスが太田の前にこぼれ、太田が相手のディフェンダーの間を割って切りこんでシュートを決めたもの。太田のドリブルはよかったが、もともとは広島の致命的なミスである。
 この試合の結果だけで、J1の上位を戦えるチームに戻ったとは言えないだろう。
 磐田の収穫は中盤に入った若手がのびのびとプレーできたこと。太田は23歳。先発は今季3試合目。成岡翔と船谷圭史は22歳、ともに今季初先発だった。
 広島は、佐藤寿人が前線で孤立していた。守備ラインの裏に抜けることを狙っていたが、オフサイドが多かった。

Bベテラン2人の交代起用
 磐田はベテランの名波と中山を、後半38分すぎにあいついで交代出場させた。山本昌邦監督は「3点目とりににいくためだった」と言う。「3点目をもっと早くとりにいくべきだったけれど、若手には、そのための何かが足りなかった。名波と中山は、それをきちっと見せてくれた」と試合後の記者会見で説明した。中山は42分につぶされながら、太田にパスを出してチャンスを作り、名波はロスタイムに入ってからドリブルで進出したあと、太田にスル−パスを出して3点目をアシストした。結果は山本監督の説明どおりだった。
  しかし、残り10分を切ってからの起用は「3点目を狙った」というより、「サポーターの期待に応えた」と言ったほうが、スタンドの雰囲気から見ればあたっている。ベテランの顔見せでファンの要望を入れながら、若手を伸ばしていこうという狙いだろうか? 

 

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