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サッカーマガジン 2005年12月6日号
ビバ!サッカー

ドイツへと盛り上がるメデイア!

 ドイツに行く32チームが出揃った。日本代表チームは11月16日に東京国立競技場での親善試合でアンゴラに勝ち、年内のスケジュールを終えた。これから本番へ最後の仕上げだ。いよいよワールドカップ気分である。
 出場32チームが決まったニュースが、翌日の夕刊で1面扱いになっていたのには驚いた。1面は重要なニュースを載せるページである。ぼくは1990年代のはじめまで長年、新聞社のスポーツ記者をやってきて、ワールドカップをなんとか紙面に大きく載せようと苦労し続けてきた。それを思うと感慨無量である。Jリーグと日韓大会開催が日本のマスメディアに、サッカーのワールドカップの特別な値打ちを認識させた功績は大きい。
 スポーツ記者になったのは1956年である。当時はサッカーを理解している記者はごく少数だった。大阪朝日の大谷四郎さん、毎日の岩谷俊夫さん、産経の賀川浩さん、東京朝日の中条一雄さんなどである。そういう諸先輩に指導され、あるいはシリをたたかれて、サッカーの記事を書き、紙面に載せてもらおうと悪戦苦闘した。競争しあっているはずの新聞記者が実は裏では手を組んでいる。なんとかサッカーを認めてもらおうと思うあまりである。それが実情だった。
 そういうわけで、サッカーというスポーツの評判を落としたくないと、協会やチームに対する批判は甘かったかもしれない。記事の内容も似たりよったりに見えたかもしれない。ジャーナリズムとしては、よくないことだと思うが、ぼくとしては、他の新聞の先輩記者に暖かく指導していただいたことを、いまでもありがたく思っている。
 状況はがらりと変わった。
 いまは日本でも、サッカーは野球以外のスポーツではとびぬけて隆盛である。
 メディアは大きく扱い、記者はみなサッカーを知っている。記事の内容も多種多彩である。 
 記事が多様だから「なるほど」と感心させられる指摘もあれば「どうかな」と思われるものもある。しかし、記事量が多い割りには、同じような指摘も多すぎるように思う。
 たとえば、日本対アンゴラの試合である。終了まぎわに、松井のゴールでやっと1対0で勝ったので「決定力不足が課題」と決まり文句で片付けている記事が多かった。なぜシュートが決まらないのか、突っ込んで分析した記事は少なかったように思う。
 ぼくの意見は? 
 ここには書ききれないので、これからドイツ大会までに、おいおい書いていくことにしよう。


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