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サッカーマガジン 2004年5月11日号
ビバ!サッカー

ホームタウン広域化へ疑念

 「ジェフユナイテッド」の名称変更が先延ばしになった。4月20日のJリーグ理事会で承認するはずだったのだが、市原市が反発しているので沈静期間をおくという。しかし、1カ月後の理事会では申請どおりに承認する方針というのだから要するに、当面の風当たりを避けるためのコソクな策である。そもそも「ジェフユナイテッド市原・千葉」を正式名称にといいながら、呼称は「千葉」にという申請が、ヨロイの下に本音が見えるコソクな策略だった。
 ぼくが主催している「ビバ!サッカー講座京葉」でジェフのフロントの方がたにお話をしていただいたことがある。みな情熱と見識と実行力を備えた、すぐれた人材だった。あの人たちが、こんな「コソクの二乗」を考えるとは思えない。あるいは、この難問を一身に引き受けた幹部は別だったのだろうか?
 この問題は「ホームタウンの広域化」にからんだものである。
 ジェフユナイテッドのホームタウンは千葉県の市原市だ。だから名称は「ジェフユナイテッド市原」である。隣の千葉市に新しいスタジアムができるのを機会に千葉市もホームタウンに加えることになった。それで名称変更の必要が生じたわけである。
 ホームタウンの広域化には、ほかにも例がある。
 清水エスパルスは、清水市と静岡市が合併したので、2市を合わせた新しい静岡市がホームタウンになった。広域にはなったが自治体は一つである。
 アルビレックス新潟は、新潟市の郊外の聖篭町を加えた。これは、この町にアルビレックスの練習場ができたためである。二つの自治体にまたがる点では「市原・千葉」に似ているが聖篭町は新潟市に隣接する小さな町で、ほとんど市内といっていい。地理的には「広域化」とはとても言えない。
 千葉と市原の場合はまったく違う。千葉市は人口約91万人の大都市だが市原市も約28万。かなりの規模の都市である。面積では市原の方が大きい。完全に二つの自治体にまたがる広域化になる。
 もともとJリーグのホームタウンは市町単位ということではなかったか。そうであれば、この広域化はおかしい。
 ホームタウンを都道県単位とするのなら「市原・千葉」でもおかしくはない。「房総」でも「京葉」でもいい。千葉県には県北に柏レイソルもあるが、県内の地域の縄張りは県内で決めればいい。
 でも、広域化は「地域に根ざしたクラブの育成」というJリーグの理念に反するのではないか。Jリーグの建て前が崩壊しつつあるのではないか。


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