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サッカーマガジン 2004年2月10日号
ビバ!サッカー

J1とJ2の垣根を低く

 Jリーグの新シーズン開幕を前にしてアルビレックス新潟のJ1昇格、J2優勝の祝賀会があった。1月17日、ホテル新潟。地元のサッカー協会関係者を中心とした会だった。
  平山征夫・新潟県知事が来賓として最初にあいさつをした。
 「宿願かなってJ1に昇格したのだから、J2に舞い戻らないように頑張ってください」という趣旨だった。型通りのようだが、これは県民大多数の気持ちを代表している。「J1に上がったけれどいまの戦力で大丈夫だろうか」と多くのサポーターが心配しているからである。
 次にあいさつしたのは、日本サッカー協会の川淵三郎会長だった。
 「知事はああ、おっしゃったけれどもJ2に落ちてもいいんです。また、上がればいいんですから」
 ぼくは川淵会長に賛成である。J1もJ2も同じJリーグの仲間である。あまり差別して考えるのはよくない。
 とはいえ、J2からJ1に上がったばかりのチームはたいへんだ。
 J2で優勝したのだから、選手はみな功労者である。首都圏のチームとは違って、地方ではJ2であっても、選手たちの知名度は高い。功労あるスター選手をばっさりクビにしたら、サポーターは憤慨する。
 しかし、J2の戦力でJ1を戦うことは現状では無理である。補強しなければならない。 
  だけど、J2のときの選手たちを残し功労に報いて給料を上げたら、新戦力を補強するための資金が出ない。それに新戦力を取りにいっても、同じ条件なら相手の選手は優勝の可能性のあるチームを選ぶから、J1に昇格したばかりのチームにはスーパースターは来てくれない。
 というわけで、サポーターの気持ちとチームの運営を両立させるのは難しい。
 J2で戦ってきたやりかたでは、J1では通用しない。慣れるまでは苦しい戦いが続くだろう。
 したがって、せめてJ2に落ちないように頑張れということになるのだが、ぼくは川淵会長と同じように「落ちたってまた、すぐ上がればいい」と考える。
 最小限の補強でスタートし、戦いながら戦力を整備していく。そしてJ1の戦いに慣れていく。1年たてば、結果として、かりに最下位であっても、J2ではすぐに優勝できるチームになっているだろう。そして次の年には、またJ1に復帰するだろう。
 そのようにして歴史を積み重ねていって、J1とJ2のレベルの格差が少なくなり、間の垣根が低くなるのがいいんじゃないかと思っている。


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