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サッカーマガジン 2003年7月15日号
ビバ!サッカー

コンフェデ杯の残したもの
ジーコ監督の経験が収穫?

 コンフェデレーションズカップで日本は1勝2敗、目標の決勝トーナメント進出はならなかった。結果は残念だけど、日本代表チームはワールドカップ予選へ向けてチームづくり途上。いい経験にはなっただろう。とくにジーコ監督にとって勉強になったのでは?

トルシエのほうがいい?
 兵庫県加古川市にある兵庫大学に勤めて10年目になる。気候温暖で静かないい土地だが、大学の付近にはお店が少ない。
 正門の近くに、しゃれた作りの喫茶店があって、ここがちょっとした憩いの場である。ご夫婦で経営していて、ご主人はサッカー通である。感化されてか、奥さんもサッカーの話をする。
 「日本はダメでしたねえ。ジーコさんじゃダメかな。トルシエさんのほうがよかったかな」と奥さんがいう。フランスで行なわれたコンフェデレーションズカップで日本は1勝2敗、決勝卜−ナメントに出られなかった。その話である。
 「一つ負けりや、ダメだっていわれるんだから、たいへんだよ」 と、地元の人らしいお客さんがちゃちゃを入れた。
 サッカー通のご主人は、にこにこしていて口を挟まない。フランスやコロンビアは、日本が楽に勝てる相手ではない。また、コンフェデ杯は、日本にとって、ぜがひでも勝ち抜かなければならない性質の大会ではない。勝ったほうがいいに決まっているが、いまの日本代表チームの目標は、ワールドカップ・アジア予選に勝ってドイツ大会への出場権を得ることである。サッカー通のご主人は、そういう背景を十分にご承知のようだ。
 「みんな、それぞれ大事なファンだな」と、ぼくは思った。
 結果に一喜一憂する人もいる。客観的に見ている人もいる。暖かく見守っている人もいる。そういう人たちにサッカーは支えられている。

ヒデと俊輔のコンビ
 コンフェデ杯で、とくに新しい問題が浮かんだわけではない。チームとして国際試合の経験を積んだことが最大の収穫だっただろう。
 いまの日本のサッカーの特徴であり、長所である攻撃的中盤の構成については、中田英寿と中村俊輔の2枚のコンビが役立ちそうなことを確認できた。トルシエ監督は、ワールドカップ本番で断念して、最後には悛輔をはずしてしまったが、ジーコ監督は2人を並べて使うことを試みている。両雄並び立てば、もちろん、それにこしたことはない。
 フランスとの試合では、俊輔の活躍が光ったと報道された。
 この試合はフランスにとっては、ちょっと手を抜きたいところだっただろう。第1戦でコロンビアに、すでに勝っている。第3戦の相手はニュージーランドで、これは十分に勝ちを計算できる。日本との試合は引き分けでいい。それに強行日程だから、優勝を狙う立ち場としては選手を休ませたい。
 というわけで、主力の一部を休ませ、ゆっくりしたペースで戦って、中盤はそれほど厳しくしない方針だっただろう。
 中盤でスペースを与えられれば、ヒデも俊輔も存分に持ち味を発揮できる。それが善戦の原因だっただろう。
 今後、ヒデと俊輔の両雄を並び立たせるためには、2人を揃って出場させ、コンビを育てていかなければならないが2人とも欧州でプレーしているので、その機会がなかなかない。今回は非常にいい機会だった。

大胆で柔軟な路線変更
 最前線のストライカーには、いぜんとして問題がある。高原と新登場の大久保を並べた。しかし結果を出すことはできなかった。
 ストライカーについては二つの課題がある。
 一つはシュートの機会を作るための動きを多様にすることである。前線でスペースを作る動きに、もっともっとくふうが必要である。
 次に、もう1人か2人の強力な夕レントが欲しい。大柄で、すばやく、強力なストライカーを求めるのは無理だろうか。
 いまは未完成であってもいい。そういう素材に、高いレベルの国際試合で経験を積ませる場を作れないものだろうか。
 守備ラインは、コンフェデ杯に出掛ける直前のパラグアイとの親善試合で大幅に組み替えた。アレックスを左に使い坪井慶介、山田暢久の浦和コンビを右に並べた。山田はベテランだが坪井はまだ23歳の若手である。守備ラインで新しいメンバーを使ってみたのが、今回のいちばんの収穫かもしれない。
 6月8日に大阪の長居競技場で行なわれた試合でアルゼンチンに1−4で敗れた。そのあと、あっさり方針を転換し、守備ラインを組み替え、ストライカーに大久保を追加した。ジーコ監督は大胆だが頑固でない。これは、ちょっと意外だった。
 コンフェデ杯の3試合で、ジーコ監督は国際選手権の戦い方を、いろいろ学んだのではないかと思う。
 コンフェデ杯で、もっとも貴重な経験をしたのは、ジーコ監督だったかもしれない。


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